廃棄直前食材を集め、すべて無料で提供するスーパー

まだ食べられるのに、消費期限が近いからという理由だけで、大量に廃棄されてしまう食べ物があるのは、ご存知のとおりです。「もったいない!」と思っているのに、そこで働く人たちもどこかで「しかたない」と諦めていないでしょうか?

2017年夏、オーストラリアのシドニーに、廃棄直前の食料ばかりを集めたスーパー「OzHarvest Market(オズハーベストマーケット)」がオープンしました。2016年には、デンマークで期限切れ食品専門スーパーがオープンしていますが、そこが30%〜40%引きで販売しているのに対して、オズハーベストマーケットは無料というのが大きな特徴です。

スーパーを設立した「OzHarvest」は、食糧問題の解決に取り組む、オーストラリアの市民団体。オーストラリアでは、食品廃棄のために年間200億ドル(約2,100億円)の費用がかかっていて、400万トンの食糧が埋立地に捨てられています。さらに64万人以上の人々が毎月食糧援助を受けていて、その1/3が子どもだと言われています。

オズハーベストの目的は、①良い食べ物が無駄にならず、②誰もが利用できるようにして、③国を豊にすること。2004年の11月以来、国内各地で支援が必要なひとたちに向けて計6,500万食を提供してきました。

すべて無料のヒミツは3つ

1. 賞味期限切れ前でも処分されてしまうような食品を大手スーパーなどから譲り受けているから。
2. 非営利団体による運営だから。
3. 代金の代わりに寄付を募っているから。

スーパーの入り口には「必要なものをお持ち帰りください」「可能なら寄付を」と書かれていて、開店から5週間で2万豪ドル(約170万円)が集まったそうです。この寄付金は、団体の食事提供事業の費用に充てられます。

約10人のスタッフはボランティアで、家賃や光熱費は趣旨に賛同したビルのオーナーの厚意で無料。平日10:00〜14:00までの間に150人ほどが来店するそうです。約2,000点の品物は果物や野菜を中心に、パンやビスケットなどもありますが、すべての商品に値札はなく、約200平方メートルの店内にレジもありません。そしてスーパーのお客さんには自分の意思で寄付ができる、専用の箱が店内に設置されています。

食糧を無駄にしないために、そして食糧難を解決するために動き出したプロジェクト。「各産業が我々に影響を受けてより多くのオズハーベストマーケットが現れるのを見たい」と、オズハーベスト公式サイトで呼びかけています。

http://www.ozharvest.org

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