「値段」のない小さなレストラン

カルマキッチンや保留コーヒーなど、代金は前の人が払ってくれているというシステムがありますが、自分ができることを提供すれば、お金を介さずに社会が回っていくかもしれません。

以下、HEAPSMAGのサイトより抜粋。
http://goo.gl/EU24Ft

ニューヨーク州の隣、ニュージャージー州のレッドバンクという小さな町に、2011年に創業したレストランは、NPO法人が非営利で運営しています。来店客が支払ったお金は、店の利益や収益ではなく、すべてコミュニティへの「寄付金」となる。

メニューには「値段」が表記されていません。写真はなく、あるのは商品の名前と、どんな食材が使われていて、どんなソースがかかってくるのかという簡単な説明書きだけ。

アペタイザー、メインにデザートのコースでいただいた食材のほとんどはオーガニック。店の前には小さなファームがあり、そこからの採れたて野菜を使っている。すべて新鮮で美味しく、量も申し分ない。おまけに食後にコーヒーまで出してくれた。ひとしきり満足しながら「一体いくらなんだろうね、チップを足したら割といきそうだよね」と話していると、一人のウェイターがテーブルへお会計票を。しかし、運ばれてきたのは「お会計」ではなく「メッセージカード」。開いてみると、そこにはこう書かれてた…。

「お支払いは方法は、キャッシュ、もしくは1時間のボランティアから選べます。お支払いいただいた金額はすべて寄付金となります。寄付の最低金額はお一人様あたり10ドル(約1,200円)から。それ以上払っていただいたぶんは、払えない人へのギフトチケットとして使用させていただきます」

たとえば、二人で食事をし、一人5ドル上乗せして、15ドルずつ合計30ドルを払ったとする。すると、そのエクストラぶんの10ドルで明日、もしくは近い将来に空腹で店に駆け込んできた一人分の胃袋を満たしてあげることができるのだ。

働くから食べさせて欲しいって、皿洗いや掃除など、自分がここでできる“何か”を申し出る人が多いのよ」。職なしホームレスだった人が、ここで皿洗いを継続的に続け、知り合ったボランティアメンバーの紹介でほかのレストランのパートタイムとして雇われたケースもあるそうだ。社会復帰への第一歩として、また、職業訓練の場としても機能している様子をうかがわせる。

主にレストランの現場を支えているのは、前述の親切なサーバー、マーサのようなボランティアメンバーだ。ボランティアには学校の社会貢献活動の一貫として参加する学生や、料理学校への進学を目指し調理技術を習得しにくる人などがいる。

なるほど。みんな、個人レベルで社会貢献を行っているのだ。しかも、お金(寄付金)だけではなく、時間を提供するというやり方で。「一週間のうち、自分の時間の○%を社会のために使う」と決めて、その時間をボランティアにあてる。そんな無理のないやり方だからこそ継続もできる。企業がよく「利益の○%を寄付する」ということをやっているが、それと同じことだ。

「食べることは、生きることに直結する、生命の根幹だ」

善意で貧しい人々に労力や金銭を施すということは、人々に幸福を与える。人々が幸福になれば、そこから新しいインスピレーションが生まれる。これがイノベーションにつながる、と未来へのHope(希望)を描く。同店の掲げる「HOPE is Delicious(希望こそ、美味だ)」は、そんな考え方に所以する。

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