日本ではギフト経済ラボの「カルマキッチン」が活動していますが、最初に始めたのはニップン・メッタさん。ギフト精神を世界中に広めている、中心人物の一人です。
マガジンハウスの元編集者で、ソーヤー海くんの5月のギフトエコロジーツアーに参加した土屋彩さんが、素晴らしいインタビューをまとめています。
以下、ニップンさんの言葉を抜粋してみました。
会社を辞めて、こうなった。【第21話】
代金の無い料理店『カルマ キッチン』 創設者・ニップンさんのギフトな生き方。 | anan総研
http://anansoken.magazineworld.jp/column/sanfrancisco/37726/
店に行って何かを買うとき、値段が書いてあります。お金を支払って商品を受け取ると、売買成立です。これが既存の経済システム。いっぽうで、例えば私が友人の肩をマッサージします。その交換に友人から何かを返してもらうのではなく、彼に他の人の肩をマッサージしてもらう。それが一周したらいずれ誰かが私にマッサージをしてくれるというひとつの循環が生まれますよね。『カルマ キッチン』ではこの社会でその優しさのサイクルが可能なのかという実験をしているのです。
私の経験上、その過程は3段階に分けられます。最初はただギフトし続けること。そこから親切心や寛容さを学びます。この時点ではどうやったらギフトの輪を繋げられるかとか、どうやって自分の心を整えていけば良いか、なんてことは考えずにただただ与え続けるんです。
第一段階で与え続けていくと次第に、大変微妙な感覚なのですが、受け取ることなく与えることができないことに気がつきます。つまりどんなときも、どんな形で何を与えたとしても、何かをギフトすると必ず何かを受け取ることになるんです。
何かを与えると無意識に記録をとってしまいますよね。誰に何を与えた、というように。記録は思考を働かせて行うことだけど、ダンスは心に身を委ねること。損得勘定を手放し、ハートに従うことでギフトの世界で軽やかに踊ることができるんです。
ギフトの輪は一対一の与え合いじゃないんです。大勢と大勢の与え合い。だからあなたが与えたものがどこで浮上するのかはわかりません。もしかしたら巡り巡ってあなたの子どもに与えられるのかもしれない。孫かもしれない、または従兄弟かもしれません。誰にいつ与えられるかはわからないのです。でもそういうことは重要じゃないんですね。大切なのは優しさの波紋を起こすこと。どんなに小さな優しさでも伝播していくからです。逆に言えばいじわるも同じ。ガンジー、マザー・テレサ、ダライ・ラマなど優しさの波紋を広げながら暴力的な行為を受け止めていった人たちがいます。私もそういう人になりたい。
以下は、greenzの記事から抜粋。
「ペイ・フォワード」の気持ちが本物のつながりをつくる。「Service Space」創始者ニップンさんに聞く「ギフト経済」のはじめかた | greenz.jp
http://greenz.jp/2013/12/12/nipun_gift/
まず「消費者」から「貢献者」へシフトすることです。
自分は何を持っているのか、何を奉仕できるのか、そう考えることが第一歩です。
次に、貢献者になると「交換」から「信頼」へのシフトが起きます。「交換」は私とあなたの1対1の関係で成り立っているので、与えたものに対して見返りを求めますよね。
一方で「信頼」は、何らかの形で、めぐりめぐって自分のもとへ返ってくること。だから何が返ってくるかよりも、自分から始まって次の人、また次の人…というサークルの中で生まれた可能性が大切なのです。
そうすると「孤立」から「コミュニティ」へシフトします。そしてやがて「欠乏」から「豊かさ」へのシフトが起きていきます。
「自分には何もできることがない」と言う人もいるかもしれませんが、何もできない人なんていません。誰しも何かしら持っていて、その視点を持つだけでも、豊かになれると思います。
TEDxBerkeleyのスピーチの様子